2004-04-01から1ヶ月間の記事一覧

チボー家のジャック

マルタン=デュ=ガール 山内義雄訳 チボー家のジャック 現在、日本には少女が自分探しする本はたくさあれど、少年っていうのは見ない気がします。それはたぶん、少年が「愛」やら「ぬくもり」を求めている姿はあまりかっこのつくものではないからだと思うんで…

日本文学全集48 林芙美子集

林芙美子 「放浪記」「風琴と魚の町」「牡蠣」「晩菊」「浮雲」の五作を収録 収録順に作品を読んでいると「浮雲」まではプロレタリアートが代名詞でも問題ない作品だなぁという意識しかないが、「浮雲」にきてガラリと変わる。「女性特有の赤裸々ふしだら性…

リリス

G=マクドナルド 荒俣宏訳 リリス めくるめく幻想の世界が「ルイス=キャロル」や「ミヒャエル=エンデ」以上の世界の大きさがあり、読み進めていくのに難しい部分と簡単な部分の両極端があって、この話は純度の高い幻想小説なんだなぁと思いました。その多彩ぶ…

世界文学全集 別巻7

レマルク 山西英一訳 凱旋門 フランスはパリのビストロでカルバドスを飲んで食事している間に人が死んだり恋をしたりナチスに見つかってスイス送りになったり、ほんとにカルバドスを飲む間にいろいろ進むお話で、胃がもたれそうなそれでいて憧れてしまうかっ…

文藝春秋 芥川賞発表三月特別号

金原ひとみ 蛇にピアス 綿矢りさ「蹴りたい背中」よりも私は「蛇にピアス」の小説の広告としてのタイトルとして秀逸だと思います。「蹴りたい背中」は象徴としては申し分ないタイトルですけれども、「蛇にピアス」にさらにいろいろな付加(身体改造?)を想…

文藝春秋 芥川賞発表三月特別号

綿矢りさ 蹴りたい背中 恋愛とも友情ともつかない感情が主人公ハツとにな川の間に生まれるわけですが、ハツもその友人絹代もにな川も高校一年生なんです。高校一年生の一学期中間テスト前なんです。中学時代のグルーミングに苦痛を感じて高校生になってから…