マリア様がみてる

今野 緒雪 マリア様がみてる 幼稚舎から大学まで一気に要するお嬢様学園、そこにすまう天使たちはセーラー服は翻さずに、姉妹関係のある先輩後輩がいちゃいちゃして学園生活を送っているようです。百合ブームのさきがけとなったこの作品はアニメにもなってい…

つっぱれ有栖川

ヤマグチノボル つっぱれ有栖川 「YAWARA」は偉大だったと力いっぱい力説しているだけの話。「女は土俵に上がれないなんて差別だ!」というフェミ発言をなさる方はそんなに土俵に上がりたいのかなぁと疑問になります。が消えゆく蝋燭の炎のように「女相撲」…

チボー家のジャック

マルタン=デュ=ガール 山内義雄訳 チボー家のジャック 現在、日本には少女が自分探しする本はたくさあれど、少年っていうのは見ない気がします。それはたぶん、少年が「愛」やら「ぬくもり」を求めている姿はあまりかっこのつくものではないからだと思うんで…

日本文学全集48 林芙美子集

林芙美子 「放浪記」「風琴と魚の町」「牡蠣」「晩菊」「浮雲」の五作を収録 収録順に作品を読んでいると「浮雲」まではプロレタリアートが代名詞でも問題ない作品だなぁという意識しかないが、「浮雲」にきてガラリと変わる。「女性特有の赤裸々ふしだら性…

リリス

G=マクドナルド 荒俣宏訳 リリス めくるめく幻想の世界が「ルイス=キャロル」や「ミヒャエル=エンデ」以上の世界の大きさがあり、読み進めていくのに難しい部分と簡単な部分の両極端があって、この話は純度の高い幻想小説なんだなぁと思いました。その多彩ぶ…

世界文学全集 別巻7

レマルク 山西英一訳 凱旋門 フランスはパリのビストロでカルバドスを飲んで食事している間に人が死んだり恋をしたりナチスに見つかってスイス送りになったり、ほんとにカルバドスを飲む間にいろいろ進むお話で、胃がもたれそうなそれでいて憧れてしまうかっ…

文藝春秋 芥川賞発表三月特別号

金原ひとみ 蛇にピアス 綿矢りさ「蹴りたい背中」よりも私は「蛇にピアス」の小説の広告としてのタイトルとして秀逸だと思います。「蹴りたい背中」は象徴としては申し分ないタイトルですけれども、「蛇にピアス」にさらにいろいろな付加(身体改造?)を想…

文藝春秋 芥川賞発表三月特別号

綿矢りさ 蹴りたい背中 恋愛とも友情ともつかない感情が主人公ハツとにな川の間に生まれるわけですが、ハツもその友人絹代もにな川も高校一年生なんです。高校一年生の一学期中間テスト前なんです。中学時代のグルーミングに苦痛を感じて高校生になってから…

月と六ペンス

サンセット=モーム 月と六ペンス モームの代表作「月と六ペンス」はゴーギャンの伝記に暗示を得た作品、と大抵の解説書に書いてある。そしてそこから連想される本当の天才の苦悩だとか通俗性の諸悪だとかそういうテーマであるんだろうなぁという暗黙の解説も…

香水 ある人殺しの物語

パトリック=ジュースキント 香水 ずば抜けた嗅覚を持つ主人公が最終的に神の匂いを手に入れたという話。その神の匂いとは女の子の匂いであってちょっとがっかりしてしまう人は多いと思う。第二部のパリの香水屋での栄光は私たちに馴染み深い素晴らしい「香水…

少女地獄

夢野久作 「少女地獄」「童貞」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」の四作を収録 ここを再開させた最大の理由はこの「少女地獄」について書きたかったからです。 少女地獄という作品は「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三つの話をまとめての総称であ…