少女地獄

夢野久作 「少女地獄」「童貞」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」の四作を収録

 ここを再開させた最大の理由はこの「少女地獄」について書きたかったからです。

 少女地獄という作品は「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三つの話をまとめての総称であって、姫草ユリ子が嘘をつくという「何でも無い」が少女地獄ではないんです。しかし姫草ユリ子のインパクトは他の二作に比べて格段にあるもんだから少女地獄=姫草ユリ子かと思っちゃうんですよね。

 そんなインパクトある作品なんだからこれだけで少女地獄でいいじゃんと思っていたんですが、読み返してみてこれは違うと思いました。結局なにが少女地獄かっていうと、少女はすぐ死ぬことができるくらいの地獄を体の中に抱えているってことだと思います。妄想癖の暴走で自殺した姫草ユリ子、この人になら殺されてもいいと思う友成トミ子、とんだ自業自得の復讐をした甘川歌枝とこの三人は自業自得だとか思い込みだとかで自殺する。そこまで駆り立てたのはまさに少女そのものだったからではないかと思います。